1797. 週刊少年ジャンプ13号

応募者全員サービスの『ヌルプニストラップ』が届きました。でも世間ではストラップよりもぬいぐるみに話題が集中していて、ちょっと悔しい気分です。最初からそっちが欲しかった!

今週のWJアンケートハガキ

恒例の、互いの票を読み合わないよう意識しすぎて結果的に駆け引きする「10ポイント配点投票方式」です。

採点内訳はこちら。

作品 id:SnowSwallow id:iolite 合算
新米婦警キルコさん 2 3 5
銀魂 2 2 4
★ 恋するエジソン 2 1 3
  べるぜバブ 2 0 2
  めだかボックス 2 0 2
  SKET DANCE 0 2 2
  暗殺教室 0 1 1
  GLASS FEET(読み切り) 0 1 1

今週は大接戦! 三票ともギャグマンガが制しました。一方で転換期を演出して盛り上がる『べるぜバブ』『暗殺教室』、一大エピソードを締め括った『めだかボックス』『黒子のバスケ』『BLEACH』が伸び悩むのは、かなりマズいんじゃないかなぁと。だいたい、ギャグマンガだけじゃ、感想が書きにくいんですよぉ!

この「今週面白かった」にこだわって採点すると、THE MANZAI の視聴者投票で「ボケの多い方が強い」のと同じ失敗に陥る感じがします。次回から採点基準を見直さなきゃだ。

以下、本号でアンケート票を投じた作品を感想します。

* 新米婦警キルコさん(平方昌宏) - 第13話「密着! キルコさん24時!!」

ギャグコメも物語展開も設定の整合性も見事なデキ栄え。面白エピソードを交えながらキルコさんの過去(キャラ設定)を伝え説いてく手法は、繰り返しやっていますけど、何回見ても感心してしまいます。

この作品の武器は、「作家の構成力」や「キルコの百面相」でもなくて、破天荒が許される芸風だと思えてきました。小娘がマーシャルマスターに勝つとか「ありえない」のに、芸風が「常識」を打ち崩すんですよ。

破天荒を通すテクニックとして多用されているのが、『隻眼の山猫(ワン・アイズ・クーガー)』『マーシャルマスター』『神殺し(ジバ・ブノハン)』などのフレーズ力ですよね。長々とした説明よりも、強烈なフレーズに言いくるめちゃう。細部をとやかく検証する気も失せてしまう馬鹿らしさ。笑って許せてしまいます。

このクオリティの作品がWJの最後尾に待ち構えているなんて嘘でしょう!? ワンピではじまりキルコで締めるだなんて、こんな贅沢が許されるでしょうか。打ち切りだけは勘弁してと熱心に願うのは『メルヘン王子グリム』以来です。やめたげて、キルコはまだまだデキルコ!(と言いたかっただけ)

* 銀魂空知英秋) - 第434訓「オシャレとはオシャレと言葉にした時点でかき消えるものなり」

シリアス回の最中は「次のギャグ回まだかな?」と溜め息ついて。ギャグ回がきたら「次のギャグ回いつかな?」と溜め息ついて。でもいざギャグ回がきたら、こうしてアンケ票を投じさせる底力があるんですよね。

「ペニスケース」と表記して「耳」とルビを打つセンスに脱帽。この場合は着帽か。業界的には「ペニスサック」に分類されるんじゃないかなぁ……と、読んでる最中に疑念を抱いていたんです。後ほど「まつざきしげるいろ」と一緒にWebで確認したところ、どうやrふぁペニスケースは性的に防御的で、ペニスサックは性的にガチでした。まあ、どちらも男性を増強するんですけどね。

さらに独自の調査を続けたところ、最近の「ペニスサック」はモロな竿型ばかりじゃなくって、一見下着にしかみえない「ポケット付パンツ型」のペニサ―が存在するらしいのです。思い立ったら吉日(!?)、変態商品の取り扱いにも定評のあるアマゾンさんでウィンドウショッピングしてみたら、すぐにこんな商品説明が飛び込んできました。(じゃんぷかんそう……?)

King Styleの網ポケット付きパンツは、台湾で大人気の商品で、下着専門メーカーが製造しています。人間工学を元に立体裁断し、また高級綿素材を使用して作られた男性用パンツです。身体に優しくフィットするだけではなく、「陰嚢分離型」なので通気性がよく、いつでも快適感を保ちます。陰茎と睾丸を別々に保つことにより、ベタつきを抑える通気性があり、常に快適で清潔を保つことが出来ます。スポーツや長距離ドライブなどの際に着用時にも快適に着用することが可能です。

ツッコミ所が多すぎますよ、ペニスサックだけに。ジャンプ感想を再開したいので、一つだけ抜粋して言わせてもらえるならば。男性用下着の説明で人間工学を元に立体裁断しというギロチンフレーズ、怖すぎ! M男をターゲットに絞りすぎ! ポチったらペニスを立体裁断されそうッ!!(じゃんぷかんそう……!?)

話を戻します。

店頭にディスプレイされた巨大版ペニスケースのデザイン、すごい女性ウケしそうで素敵ですよね! こんなペニスケースで町中を闊歩すれば、道行くお姉さんに「きれい!」「かわいい!」「触ってもいいですか?」とチヤホヤしてもらえそうです(願望)。その隣でいっしょに飾られているドリルタイプのペニスケースもすげえ雄雄しい! これってクラブに潜るとき装着するやつですよね(偏見)。

いままで銀魂の感想を書いていて、銀魂のアシスタントを褒めるのってこれが初めてなんですけど、今週のアシさんは本当にいい仕事してました。あんまり話が戻りませんでした。

* 恋するエジソン(渡邉築) - 第7話「RGB変換マシン」・第8話「西園寺さそりのΨ難」

『キルコ』の芸風と同じく、渡邉先生にも破天荒(ハジケリスト)を期待しちゃいます。『SKET DANCE』『斎木楠雄』なんかは納得感や根拠に重心を置いた笑いだから、WJのお笑いマンガはうまいことバランスとれてるんだなあと再認識しました。

一本目は本編を楽しんだあと、Webでも楽しめる二段仕立ての笑いが嬉しいです。「まつざきしげるいろ」が初耳か否かで、印象がまったく違うネタかもです。背後の階段からご本人がいい笑顔で登場という基本を押さえた演出も好きです。

二本目のイケメンネタは、担当編集「制服着ろ!!」ってツッコミが最大風速。コミックスでは消えてしまうのが惜しいです。本題としては、要は高度に調教したイケメンは魔法と見分けがつかないってヤツですよね。徐々に経歴を盛りながら『20年目の大ベテラン』が登場し、その矛盾にも野暮なツッコミを入れない気の回し方が素敵です。

その後、家族会議でエジソンを語っていて再発見したのが好沢の存在でした。『メルヘン王子グリム』でも白雪の親衛隊でなかなかの残念係を勤め上げた彼ですが、高校生になっても残念な切れ味は衰えるところを知らなくて嬉しいです。

「これグリムの好沢だよね?」と詳しく説明したらお嫁さんも思い出したらしく、二人でWebの画像を漁るモノの、確信できる材料はさっぱり見当たりませんでした。グリム二巻の表紙にも登場してるんだけど、好沢のアゴ福本伸行先生のタッチで描かれており(何を言ってるか分からないと思うけど、詳しくはWebで!)、最後まで結論を出せませんでした。画像検索したら、ファンアートが大量に出てくるのだけど、イソッペのお母さんが人気すぎて好沢はちっとも見つかりません。『エジソン』では頑張って、その残念な地位を高めていただきたいです!

* GLASS FEET(AOKO)

アンケ以外からのプラスワン感想。

先週の『こっくり屋ぁい!』が不憫に思えるほど、画力・構成ともに飛び抜けてました。まず主要キャラの造型と解説が手堅いです。過去背景から裏付けられた現在の性格、理念、想いを、手短にさりげなく説明できています。その大切な想いを打ち砕かれ、挫折して涙する流れまで計算尽く。このあたり、なんというか「理系的な芸術」という印象を持ちました。

オーウェンがサラを助けに行く場面に強引さを感じました。ここは納得感より展開の早回しを優先した痕跡がみえます。読切作品はアピールポイントにページを割くのが定石ですもんね。前振りはできるだけ省略・軽量化して、ミド神父の異常性とアクションにページを割いた判断は正しかったと思えます。

ただまあ、取調室の虫は何だったのか! という説明不足は、追究されると苦しいシーンかも...。サラの胸元に潜ってたサソリが「邪淫」のアスモデウスだった、という解釈まではいいですよね。取調室に湧いた大量の虫も「邪淫」の悪魔? アスモデウスは「邪淫」に属する一体の悪魔に過ぎない? それとも「邪淫」そのもので、アスモデウスを倒せば残る悪魔は六体? 邪淫以外の悪魔も虫? ……といった情報不足で混乱してしまい、肝心のバトルに集中できなかった面も否めません。

とはいえ、虫や悪魔への疑問はあくまで、設定次第でどうとでも解釈できるわけで。んな設定を詳細に説明されてもとかえってキツいってこと、AOKO先生も理解されているのでしょう。このあたり、マンガ家として成熟してるというか、信頼感が溢れ出ていて、とても新人作家とは思えません。

この謎の貫禄は、信頼感とは別に、「絵柄」や「設定のセンス」の古臭さが醸し出しているのかもです。こう言っちゃ失礼だけど、AOKO先生ってオレらと同世代(30代)のセンスでしょ。一昔前に流行った作風、絵柄、題材、そしてまた、WJでは流行らないセンスは、かつての田中加奈子先生を思い出させます。ただ者ではない異彩を放ってはいるものの、WJで勝ち抜ける姿は想像できません……。

一番近い作風で『BLEACH』ですけど、久保先生の絵は男臭さも兼ねてるから、少年誌で生き残れてるんですよね。AOKO先生に「男臭さ」を表現できるかが、一番の課題と思えます。

例えば『GLASS FEET』と『ONE PIECE』の最終ページ、どちらも似たような姿勢で座ってますが、ドフラミンゴの風格はまさに少年マンガ! 対するミド神父は耽美で少女マンガ。「ミド神父にはすね毛の一本も生えてません! ウンコの一本もたれません!」みたいな色気と潔癖さは、男性読者を引かせてしまう一因です。義足からすね毛生えたらスゴイけど。