1795. 週刊少年ジャンプ11号

仕事で人差し指の指先を負傷して、タイピング能力が著しく低下中です。幸い金曜の話で仕事の影響は少なかったんですよ。この三連休でキチンと「指休め」しなきゃと誓ったんですが、WJが土曜発売だったので指休めませんでした。Mr.FULLSWING』で蛇神先輩が失明した(のに二塁打で結果はイマイチだった)ときの気持ち、今ならよく理解できそうです...。

今週のWJアンケートハガキ

純粋に『今週号で面白かったマンガ』へアンケ投票しています。本号の投票結果はこちら。

毎度おなじみ、判断に迷ったら「10ポイント配点投票方式」です。

作品 id:SnowSwallow id:iolite 合算
★ 恋するエジソン 4 2 6
ワールドトリガー 2 2 4
暗殺教室 2 1 3
  SKET DANCE 1 0 1
  めだかボックス 1 0 1
  斉木楠雄のΨ難 0 1 1
  NARUTO−ナルト− 0 1 1
  こち亀 0 1 1
  新米婦警キルコさん 0 1 1
  むこうみず君 0 1 1

新連載陣営のインパクト勝ち。相変わらず3番手以降は団子レースで決まりにくい空気があります。以下、本号でアンケート票を投じた作品を感想します。

* 恋するエジソン(渡邉築) - 第3話「占い少年と発明少女」・第4話「シミ」

一本目は全体的に残念。話の流れを崩さないでスピカの学校での評判を説明した展開は上手でした。と、褒め要素はこんくらい。レギュラーキャラも定着しない内から、ぽっと出の脇役に司会進行されてもね……。結果としてパロネタの滑りが必要以上に痛いです。占いの勘違いも途中で透けて見え、最後の1ページでオチを畳み掛けるスケット団テンプレとお察ししました。

二本目が本命。「シミを動かす」という奇抜な発想力の勝利でした。スピカじゃなくて渡邉先生が変態です。このアイデア、誰かと雑談して見いだしたパターンじゃあないですよね。自問自答の果てに繰り出した、人智を越える奇蹟のアイデアですよ。何となく昔のネタ帳眺めてたら『シミ じゃま 動かしたい』てダイイングメッセージの如きメモを発見。「何のこっちゃ...」と戸惑いつつネームにしたパターンだと予想しています(ついに作家の状況・心理を予想する感想に!)

宿題中に全力でマグカップ蹴ったり、シミが「最初から怖い」のもなかなかのハジケリストだけど、それすらもフリでしかなくって。絵心勝負やシミを足す本末転倒っぷり、人体のシミ&乳輪移動、シミぜんぶ退出、といった状況のエスカレーションが完璧! 一話どころか一コマ見逃しちゃうとついていけなくなる。乳輪の併走をオチの上限に設定したのも程よいインフレ具合でした。ああ結局は変態オチなのね。

全体通してスピカは謝罪すらせず、悪気もその自覚もない素直な性格が素敵です。初回冒頭で自己紹介した「ネジが一本飛んでる」という天然ボケが、ここでもよく活きています。騒動に巻き込まれるのが男子なら研介、女子ならオマミ、という住み分けなんでしょうか。明星荘メンバの個性や立ち位置が気になってきました。

* ワールドトリガー葦原大介) - 第1話「三雲 修」

たいていの葦原ファンは「リリエンタールのファン」であって、「葦原作品のファン」とイコールでないのが、葦原ファンの面白い特徴です。葦原先生的にも「ゆるキャラ・童話路線」のリリはひとつの冒険作にすぎなくて。本音は「ガチのSFが描きたい」だってコト、他作品を読んでいてすごく伝わります。作家と読者の「好みのズレ」が葦原先生の作風にどう影響してくのか。べつにファンじゃないWJ読者的には、外野で傍観しながらワクソワしております。

本格SFと銘打った予告時から「現実世界の現代が舞台なら生き残れそう……」と不安でした。ふたを開けたら「現実・空想世界の両方」が舞台。WJでの生存例は『PSYREN』を思い出します(せいぞん……?)。ちなみに生存しなかった例は『サクラテツ対話篇』でした、アナルナルナルー。SFといえば世界観・謎解き・意外性の完成度を求めちゃうのですが、本作は三拍子揃ってますね。「修の方がボーダー」「遊馬は近界人」とどちらも意表を突かれました。

モンスターやアクションは、前連載の経験が生かしたファンシーな描写で、リリファンにも好評を得そうです。バムスターはこれ、『3×3 EYES』でパイが乗ってたフェイオー(Google画像検索)と造型が被っててハラハラしちゃいます。

読み切り『実力派エリート迅』の主人公をシャンクス(保護者+指導者)のポジションで焼き直すパターンて、WJでは初の試みじゃないでしょうか。修の所属部隊には読み切り時のチームメンバも登場してほしいな。トリガーというキーワードも、読み切り『トリガーキーパー』が初出です。扉絵の黒髪少女は『トリガーキーパー』の金髪・異星人ヒロインを焼き直して再登板させるのかも。『ワールドトリガー』は葦原作品の集大成となるのでしょうか。もうこの際、リリエンタールの組織も再登板してくれたらいいのにな!

修のトリガーは未成熟なのか、地球人の平均がこの程度なのか、単にゲージ溜めらんなくて囮り役に回ったのか。遊馬との力差が大きすぎて、今後活躍の余地があるのか心配……。

* 暗殺教室松井優征) - 第29話「まさかの時間」

前感想の予想がなかなか的中して、嬉しさ補正もあって面白く読めました。

第一話に続き月(と予想中)で行われた殺せんせーの人体実験と、その顛末の回想が。殺傷された研究者の衣装が、シロが初回登場時に着ていた白衣と同じです。殺せんせーとイトナの触手は、同じ組織が触手テクノロジーを享受していたことに。また、組織と日本の防衛庁との繋がりも言及。物語の舞台が日本である根拠や必然性や隠されてるのかな。(というか殺せんせーが日本人なのか...)

黒髪の女性研究者は、触手の暴走で殺ったのか、合意の上での段取りだったかで、殺せんせーへの印象が正反対になります。殺せんせーが『人類と組織の双方を敵に回しながら世界を救う孤独のヒーロー』なら、故意の犯行じゃなかったのに誤解されてる扱いを期待しちゃいます。

で、殺せんせーがヒーローなら、触手はさながら悪の象徴。ホントに「触手」が月で研究されていたなら、触手とは技術じゃなくて、地球外生物の可能性を思わせます。暫定イメージは『寄生獣』で。ハリウッド映画的にもありがち設定ですし。「触手」は月の研究施設にしか存在しなかったはずで。施設は月ごと吹っ飛ばしたはずで。そこに触手持ちのイトナが登場して。あれほどの代償を払っても、未だ組織が触手を保有していたことに、殺せんせーはお怒りなんでしょうか。

触手バトルの影で、カルマくんの心理が気がかりです。コケにされて仕返さない彼じゃないでしょう。シロが外野から援護射撃したなら、先陣切って殺せんせーを援護するのはカルマじゃないかな。他のE組生徒もそれに続いて時間稼ぎしてくれそうです。

以前殺せんせーが片栗粉でダイラタンシー現象を授業して以来片栗粉Xの製法が頭の片隅に突っ掛かって、ぜんぜんヌけません……。

* べるぜバブ(田村耕平)

アンケ以外からのプラスワン感想。

まだ全話感想してた頃に連載が始まった本作。子供ウケはよさそうでアニメ化は予感しましたが、これほど長期連載するとはなぁ……。

過去に不良と悪魔で一戦交えといて、今さら不良同士のケンカを再開するデフレ展開には、ここ数週ポカーン状態でした。ただまあ、新たな敵勢力(たち?)が単なる不良じゃなくって、魔界と関係してそうな描写が。田村先生も一応パワーバランスとか整合性を勘案できる作家だったんだと見直しました。殺六縁起との抗争には、新しい悪魔の勢力が暗躍していて、終盤で石矢魔の不良たちが結束してく感じになるのかな。

新シリーズが始まると新キャラを大量生産して、読者に妄想・期待させるのが田村先生の手口です。でも今回は六騎聖と違って、主要六人+各勢力の幹部メンバまでネームドキャラで登場し、これはさすがに気持ちが切れそうです...。

竜族んときは新キャラが大量投入されても、「でもお雑魚なんでしょう?」と割り切って読めたのに。今回の場合、幹部同士のバトルまで描くノリなんだもの。この雑音が多すぎて主題に集中できない状況はけっこう苦痛なので、早急に因縁を作るなり、状況を動かしてほしいところです。

* むこうみず君(宮崎周平)

三連休なのでもひとつオマケ感想。

久保・空知杯エントリ作品です。空知先生の『銀魂』が人情回に入ったもんだから、肉薄したギャグ分を補給できて、これちょっとラッキーくらいな気持ちで読めました。

学生時代ってクラス替えのたび『いつも連んでる友達』が変わるんですよね。一本目と二本目で、友達ポジのレギュラーがさらっと入れ替わったのは、それを示唆した演出なのでしょう。こどもの残忍な友情劇がほろ苦いです。

二本目はページ埋め合わせ工作か、一ネタのイジリが間延びしていて、せっかく笑えたネタを腐らせているのが惜しいです。一本目は短編ごとにクスッとくるネタあり、テンポよしで、代原の一発屋で終わるには惜しい作家です。これでマンガ歴5ヶ月なら見込みアリでしょう。あと、こんな不条理ギャグ漫画描いといて、好きな漫画『スラムダンク』『ドラゴンボール』て、どゆこと。


麻生先生の巻末コメントは、WJ読者が総ツッコミしてそう。来週号は渡邉先生・麻生先生のリアクションが最大の見所となりました!

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