1793. 週刊少年ジャンプ09号

iPhone の「シアトリズム ファイナルファンタジー」にハマってます。タイトルの「シアトリズム」の部分がいつも自力で思い出せなくて、とりあえず「モラトリアム FF」仮名で呼んでました。この感想を仕上げたあと、次のWJ発売までの猶予期間にプレイしていますし、意味はだいたい合ってた。

今週のWJアンケートハガキ

アンケート票の選考に際しては、純粋に『今週号で面白かったマンガ』へ投票するポリシーです。本号の投票結果はこちら。

ハガキを投函する手間隙かけてでも『自分の票を捧げたい』と積極的に思える作品は週に1・2本なんです。以降は横並びの団子レース。三番手(時には二番手も)の選考には毎度、苦労しています。最後は正直、その時時の気分や勢い、なのかも……。

今回も意見が分かれました。判断に迷ったら「10ポイント配点投票方式」です。

作品 id:SnowSwallow id:iolite 合算
暗殺教室 3 2 5
SKET DANCE 2 3 5
食戟のソーマ 2 2 4
  新米婦警キルコさん 2 0 2
  クロガネ 0 2 2
  斉木楠雄のΨ難 1 0 1
  クロス・マネジ 0 1 1

また『SKET DANCE』か……。

団子集団を抜けて三番手に抜ける作品はなにが違うのか。実感としては「鮮度」と思います。同じエピソードを何週も続けると中盤は停滞して結末で伸びる、てのは『バクマン。』でも語られました。印象の鮮度でいえば「中長編は”導入回”でも得票しやすい」感じなんです。一話完結のギャグやラブコメも「評価しやすい」「思い出しやすい」から得票率が高そう。

そもそもアンケハガキって固定ファンが固定票を投じてるイメージなんですけど、そんな彼らも三番手は浮動枠だと思うんです。となると新連載陣はまず三番目の椅子を勝ち取る戦略を立てるべき。短編を重ねる『キルコ』『ソーマ』は三番手で勝ちやすく、中長編が続く『HUNGRY JOKER』は劣勢だったりするのかな? この三作品は今後の動向に注目してます。

以下、本号でアンケート票を投じた作品を感想します。

* 暗殺教室松井優征) - Vol.28「映画の時間」

やっと暗殺教室に投票できました! 今のWJでは一番のファン作品です。我が家の一票はストイックすぎるんです。

暗殺の日常から離れた息抜き回でありながら、殺せんせーの謎に迫るキーワードも散らしつつ、新たな刺客を投入してつなぎ回も兼ねました。普通はこの情報量と急展開、一話に収まらない代物なんですよ。そこんとこを「いつもの暗殺教室」そのままに、自然な流れで無難にこなしてます。ほんっと松井先生すごいな。『クロス・マネジ』の早見さんは櫻井くんじゃなくて松井先生を褒めるべき。

「第二の転校生」は超人的な動体視力を使いこなすほどの身体・運動能力も備えてるんでしょうか。遠距離タイプの律に対し、彼には近接格闘の暗殺を期待! 同時期に開発されてたので、役割分担しての連係プレイも発揮してほしいな。彼も手入れされてE組に溶け込めば、二人の転校生が生徒たちの間接系・近接系を鍛えたりもできそうですよね。

「地球と月」のマークを背負ったフードや背格好は信仰者を思わせます。フードは白衣と融合しているので、科学信仰系の機関なんでしょうか。律もコテコテの技術者が開発してましたもんね。殺せんせーは「元人間」で「人為的に触手化した」と臭わせてますから、その背景に彼らの組織と繋がりがあっても不思議はありません。「月の落とし前」というセリフも因縁を感じます。

黒幕ぽい組織が登場したことで、妄想がとりとめなく膨らみました。殺せんせーの真意や過去って、ざっくりこんな感じだったら、どうかな?

  • 殺せんせーは元々この組織の人間で。
  • 組織の悪しき野望(世界征服的なアレ)を知ってしまい、それに反発して。
  • 自らが実験体となり超人化して。(デビルマン的なアレ)
  • 「君の兄」発言は「殺せんせーが超人化したテクノロジーを流用した」ニュアンスで。
  • その力で月の巨大な研究機関を破壊し、組織を裏切って。
  • 第一話で殺せんせ―が女性を抱いていたあの場所、月だったりして。
  • だけど一人の力では組織を壊滅できなくて。
  • 殺せんせーが目的を果たすには、自分に匹敵する暗殺力をそなえた同志が必要で。
  • 一年で地球を滅ぼす期限は、組織が計画を果たすリミットでもあり。
  • やつらにやられるくらいなら、殺せんせー自ら地球滅ぼすぞー!
  • というヒールに徹して、殺せんせーに立ち向かってくる骨太な奴らを鍛えて。
  • だから(細かい理由は不明だけど)E組生徒も鍛えていて。

組織を裏切り、世界からも悪者扱いされ、それでも真の黒幕と戦うため「悪役のレッテル」まで利用し、世界を救おうとしているのなら。渚がモノローグした「悩みながら世界を救う孤独のヒーロー」にぴったりな気がしません?

ところで、モバイル律はものすごくエロアプリですよね。素肌をタップし焦らしながら、スカートの裾をフリックし、両手首をダブルタップで拘束してからの(自主規制)長押しッ! 学友のさまざまなおさわりプレイにも自律的に応じてくれるのでしょう。

だれか! iPhoneとかではよ!!

* SKET DANCE篠原健太) - 第266話「ビーチ・ガールズ・コレクション」

スケット団はもっとチュウさん周辺の飲食物にいいかげん警戒すべき!

ゲスリング部がエロに必死すぎた結果、透明薬を使いこなして機転を利かせたり。難解な仕様を驚異的な学習能力で把握したり。透明を持続する動作など応用技を会得したり。なんという科学技術の発展あるある。人類ってこうやって文明力を高めてきたんだなぁ……。

この話って問題は二読目なんですよね。一読目はノリで笑いながら楽しめてるけど、二周目になると冷静に「このシーンってどういうこと?」とツッコミが入りはじめます。「透明同士なら姿が見えるんだ!?」「透明同士は会話できるんだ!?」「透明じゃないときは透明人間の姿も声も認識できないのか!」などなど。

(あえて読者が謎解きできるように)説明不足だった設定が、徐々に理解できてくるんですよね。一発スッキリしたら冷静に判断できる、これぞ賢者タイムです。ゲスラーたちはこの設定、ごく自然に受け入れていたのかと思うと……。本気のエロってべつにスッキリしなくてもずっと賢者タイムなんじゃあ。

* 食戟のソーマ附田祐斗佐伯俊) - メニュー8「春を呼ぶ皿」

大増23ページバトルを制したのは(我が家だと)ソーマでした。話数の読み方は「メニュー」でいいのかな?

一・二話と女性ゲストの超絶嫌味キャラが続いて心象最悪でしたが、最近は良心的なキャラに恵まれ、ようやく反発心を引っ込めて読めるようになってきました。

今回の創作料理『鰆おにぎり茶漬け』は、白米おにぎりを解きほぐす描写がまさしく雪解け。「春」のテーマとマッチしていて感動的でした。雪と白米を描き分けながらも被せて描写され、これぞ一流の画力ならではの説得力ですね。だけどメインの鰆は、あれだけ丁寧に説明されてる割に、なんという一口サイズ! ポワレを説明する前に食べ終わってそう。

今話のMVPは一色先輩で間違いないでしょう。裸エプロンをボケの道具として使ってる素振りが(本人には)ないので、押しつけ感がなくて好感が持てます。裏表ありそうな危険さを秘めつつも、挑発的なソーマを柔軟にやりくるめた器量は、本音が見えない分「ちょっと夜神月っぽい」とか思っちゃいました。

あとこれ、ソーマの料理を食べて半脱ぎになった=引き分けという判断基準なんすかね。今回の一色先輩は首の皮一枚で助かった、もとい、腰の棒一本で助かった感じです。春の生命力で力強くめばえた下半身と肩紐の三点でぎりぎり支えて、エプロンをキープ。伊達工ばりのブロックテクでした。

* クロガネ(池沢春人) - 第68本目「クロガネ」

アンケ票以外からのプラスワン感想。

池沢先生の作風はとってもマジメで堅実。だけど時々マジメなのにハメを外すんですよ。狙ったお色気(マネ要員)にはびくとも反応しないけど、狙ってないキメセリフ(缶コーヒーが甘すぎる)で笑っちゃう「ちぐはぐ」感。それが最初は、どうにも心地悪くって。だけどいつしか、クセになってゆき。気がつけばクロガネを言及しないと一週間がはじまらないほど、自分の中では存在感のデカいネタマンガになっていました。

クロガネ最大の「ちぐはぐ」は、主人公設定と剣道表現のギャップだったと思うんです。「桜一刀流」「さゆりの存在」「見えすぎる視力」「夢の中でも修行」など、非現実のメタ設定が豊富な主人公の人物設計。対して、剣道というスポーツに関しては、すり足の基礎から、三すくみで読み合う応用まで、かなり具体的に、堅実に、現実派な舞台表現を心がけていました。それらを堅実に融合してみたら、あちこち歯がゆい剣術になった(堅実だけに)。←これ毎回言わないと気が済まなくなってる

そうゆうとこ、リアル・アンリアルなスポーツを読みたい双方の読者から不満を抱かれ、板挟みになってそうでした。類型の『ヒカルの碁』とはなにかと比較しがちだけど、あちらはサイが成仏し「非現実性の切り捨て」を果たしてます。クロガネは「終の太刀」を継いでもさゆりが残留してて、これじゃ非現実を卒業できなくて少年誌でそのアンサーは心地悪い気が……。

最終話に対する純粋なコメントは家族会議の議事録に。一つ付け加えると、乙鳥って男を勘違いさせる仕草がホント極まってる。これってべつに恋愛感情はなくて「黒鉄くんが心配だったけどヒーローになったね! やったね!!」と讃えてるだけなんだけど、心理と行動がものすごく「ちぐはぐ」だぁ。

クロガネのこの感想を書いてる最中に「こうして一つの時代が終わりを告げた。『クロ・クロ時代』よ、安らかに……」とかブツブツ言ってたら、遠くでなんかやってたお嫁さん「クロス・マネジ終わってないよ?」と冷静なツッコミ。あ、うん……オレの中では終わった気になってたから……。


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