1790. 週刊少年ジャンプ04・05号

リアルが充実するとネット離れを起こすのです!(リア充の声)

過去三回の更新を振り返りますと、2009年12月、2010年1月、2011年9月。本日は晴れて2013年。ついに年一更新すら…。冒頭に記したとおり、これもリア充生活のたまものなのでした。結婚もした。家も車も買った。娘も生まれた*1。その直後に給料も一割カット。アベノミクス金利上昇の足音。変動金利の住宅ローンやばい。

あけましておめでとうございます!! (リア充じゃなくなってきた人の声)

「展開に困ったらトーナメント」という故事成語もあることですし、「路頭に迷ったらジャンプ感想」というのも一つのスタンダードにしてしまえばよいのです。

かつてはWJの全感想なんてヤンチャもしました。そんなオレも今や、以前ほどの気力も精力も持ち時間もございません。だって愛娘さんの寝かし付けで一緒に寝ちゃう。ちょっとエッチなこと書こうと思ったら愛娘さんの笑顔がよぎっちゃう。そもそも、子どもが泣く傍で暇そうにPCを触ってたら、お嫁さんの気に障っちゃう。家庭と趣味はクロスマネジしなきゃね!

という理屈をこねて感想数を絞ります。

WJアンケートを出そう!

話は変わりますが、昨年末の家族会議で「WJのアンケートハガキをちゃんと出す」ことが閣議決定したんです。オレもお嫁さんも、かつてはジャンプ感想ブロガーでした。その誇り高き血統を100%受け継いだ愛娘さんも、いずれは次世代のエリートジャンプ感想女子として活躍することでしょう。

そんな彼女に『衆議院選挙もWJアンケートもちゃんと一票を投じる、りっぱな大人像』を見せてやろうじゃあないか。ジャンプ感想帝王学を指導しようじゃあないか。おそらくはあの家族会議中、お嫁さんもそのように思考したことは間違いありません。夫婦の想いは完全に一致です。(酒の勢いで)

ハガキ一年分の50円切手を(酒の勢いで)50枚の大人買いもう、取り返しがつきません……。

アンケート票の扱いに際しては、ファンの作品だからってごり押ししません。純粋に『今週号で面白かったと思ったマンガ』へ投票するポリシーです。んで、こちらが本号の投票結果。

ところでこのハガキを書いてる時、「年齢」に何て記入するか一悶着ありまして。普通に考えて「31」とか書いたらプレゼントは当たらないよね。「自分が抽選係の担当なら、このハガキ拾い上げたら『31のオッサンにヘリコプターのラジコンなんてやるか!』って思うし、このハガキはそっ閉じして再抽選するよ……」て係員の気持ちになってみたり。「なら10でいこう!」「いや10歳でこのセンスは老けすぎてる」「ならギリギリ週刊少年な15は?」「15歳ならPS VITAだよ! 字も大人すぎてバレるから!」などとかなり物議を醸すのは、どこのご家庭でもみられる一般的な光景ですね。結論としては、正々堂々と「31」と記入することになりました。って、普通に記入するならこの段落って必要か?

……ずいぶん能書きが長引きました。以下、本号でアンケート票を投じた作品を感想します。

* ハイキュー!!(古館春一) - 第43話「”変人速攻”解禁」

狙いや味付けが「おおきく振りかぶって」と類似していて、しばらく馴染めずにいた読者層だったんですが、前回・今回の展開をもって、あちらの作品とはキチンと差別化を図れた印象です。

早々に練習試合で「変態速攻」を見破らせたり。弱点を克服すべく日向が「脱・影山依存」して普通の速攻を身につけたり。ここまで急速に『おお振り・三橋&阿部』の成長劇をなぞった感がありました。おお振りは一年目で優勝しないシナリオなので「三橋が阿部依存を克服して翌年に繋がる」成長を描いています。対してハイキューは「変態速攻は烏野の他メンバーを活躍させる陽動技になる」と表現したことで、日本人の大好きなテーマ『チームプレイ』を強調づけてきました。

おお振りのまっすぐストレートは「三橋・阿部の閉じたチームワーク」。ハイキューの変態速攻は「日向・影山が起点となる開いたチームワーク」。作品の軸となる『主人公の変態技』に関して、連携の広がりは後者に利があると思わされます。ワンプレイが断続的な「野球」と連続的な「排球」では、スポーツの性質も違っていて、こんな断片の比較で優劣を語るのはそもそも間違っていますが、両作品の似ているようで非なる『表現したい差分』が浮き彫りになったよね! という一点を述べておきたいです。

なんて理屈は抜きにして、敵視点から味方プレイヤーを「すげえ」「やべえ」と畏れる・讃える、最近のラノベにありがちな『オレ強ぇ描写』って、やっぱり燃えますね。中二的少年心を擽りまくりですよ。次週は敵・味方の視点を交えた駆け引きが描写されて結論が出るでしょうので、今話が事実上、伊達工戦の最高潮ではないでしょうか。

話は変わるんですけど、家族会議でWJ感想してた最中に、「主人公の必殺技が”囮”なんてWJじゃ『三獣士*2』以来だよねー!」と興奮しながら語ってるお嫁さんをして、これなる賢母なら我が子の英才教育も盤石なものになろうと、あらためて思い知るのでした。

* NARUTO-ナルト-岸本斉史) - 第614話「お前に」

唐突にネジを登場・活躍させて、あっけなく死なせる鬼手にびっくり。ネウロの笹塚さんが死んだ時くらい寂しい……。過去の活躍をブワッと振り返ってしまい、思い出し補正でショックがデカいです。死で心を揺さぶるエンタメってズルいけど、ネジほどの大物を捨て石にして物語を転がす度胸は評価したいです。

「日向は木の葉にて最強」の口上を嫌ったマダラ。ここってシリアスな笑いを狙いつつ、あえて深読みしておくなら『千手一族のマダラが白眼の日向一族を嫌悪している』可能性を感じます。おぼろげな記憶で語るので間違ってたらごめんなさいすればいいんですが、写輪眼のルーツは白眼にあったように思います。

三大瞳術のうち写輪眼・輪廻眼は千手一族(マダラ)と関係がズブズブですが、白眼だけは日向一族以外に門外不出で、その歴史的背景も十分な解説はなかったと思います。このタイミングでヒナタを活躍させるってコトは、写輪眼・輪廻眼を使いこなせるマダラをも脅かす鍵が、白眼に秘められているのかも……とか期待してます。日向一族が呪印で白眼の略奪を阻止してきた当初の目的(背景理由)も、実は千手一族に絡んでるんじゃないかなぁ……とかとか。

次回はナルトやヒナタの心理的ダメージをどう克服していくのか、いったん心が折れてしまうのか、といった内面を描かれそうですので、白眼の謎に迫ってくれるなら次々回あたりでしょうか。

にしても、今週のブリーチみたく、謎とされてきた設定が明かされると「停滞してた話が進んだ感」が出て、スッとした気持ちになるのはなんでしょうね。実のところ話は進んでないのだけども……。


* SKET DANCE篠原健太) - 第263話「時空の風に乗って―後編」

「時空の風に乗って」なんてタイトルを見ると、『時間は未来から過去に流れてる説(未来という風を「現在」で受けた結果が「過去」になる)』を彷彿とさせて、先週はここだけで勃起してました。そんな今シリーズの前編は前振りだけで終わり消化不良でしたが、後編はスケット団のセンスが光りまくった一話だったと感じます。

ところで、この感想を書こうとして一番びっくりしたのが「スケットダンスって263話もやってたのか!」てトコでした。そんな”にわかスケット団ファン”のオレが強く思ってる、スケット団の最大の武器(魅力)ってのは「最低にくだらない目的を、最高にばからしい手段で、ものすごく真剣に興じる」姿勢です。今回も、タイムトラベル・リープモノを、かつてない小規模と薄っぺらさで、スケット団らしいコントに仕上がっていて好印象です。

あと、これは篠原先生の独特の手癖とでもいいますが、「起承転結の『結』はなるべく短くまとめて、読者に余韻を与える」という教科書的手法を、今回もたいへん巧くなぞっています。オレみたく、文章を書き始めたらイチイチ長文になるような人間には、篠原先生の構成力が羨ましくってたまらんのです。

いやいや、銀魂をディスってるわけじゃないんですよ……。


* クロクロク(中村充志) - 読み切り

アンケ票以外からのプラスワン感想。

昨今のWJ読み切り作品としては「良くいえば優秀」「悪くいえば無難」と感じた作品です。ぬら孫亡き後(孫なのに亡きって文章が妙に悲しい...)の『妖怪枠』を露骨に狙っていますので、作者の「描きたい」よりも編集の「描かせたい」意向が強く作用してやいないか、大人の事情を心配してしまったり。画力はこれに丁寧さが加われば伸びしろが期待できますし、主人公・ヒロインの見所も個別に表現されています。シナリオよりもキャラで魅せていく作品(作家)、という第一印象でした。

怪物・怪作に見られる『突き抜けたセンス』は感じられず、これで連載で戦うには材料不足と思います。特に今回提示されたようなバトル路線では、「ぬら孫超え」が一つの基準になりハードルが高い。今のWJはキルコさんくらいの大味バトル(ばとる?)なコメディマンガが受け入れられる土壌ですし、妖怪生活を下支えする公務員コメディ路線に描いたなら、公務員風刺とか織り交ぜたりして、オリジナリティが受け入れられそう。……と言っておいてなんだけど、作中で笑えるネタもなかったし、コメディ路線にスイッチしても不安は残ります。

個人的な見解を押し付けてしまうのですが、クロクの過去描写は全面カットした方が好印象だと思うんですよ。妖怪と遭遇・感化されて同行するプロセスが「ありがち設定」かつ「唐突で強引な流れ」だったのが、一番のガッカリポイントでした。

結果論ですけど、クロクは「なんか影のある男」てミステリアスな立ち位置で押して、急に如意棒(ぜんぜん関係ないけど、ここで尿意棒と変換されてしまった。ホットコーヒーとか飲むとすぐ尿意棒になるよね! ふしぎ!)を振り回した方が(急に尿意棒を振り回して危険な男を演出するわけではなくて...)クロクの背景が気になるかたちで読者を惹きつけ、収まりのいいかたち(尿意棒がほどよいニョイポジで収まる話じゃなくって...)で話が引き締まったんじゃないかなぁ。

妖怪モノといえば、『みえるひと』『SIREN』でおなじみ「岩代先生が赤マルで描いた読み切りマンガ『GODLAND COMPANY』の方が連載化されるにふさわしい」と熱弁を奮うのは、シブいチョイスで毎度おなじみお嫁さんの声でした。ここに書かせる指示なんてしないで自分のブログで感想してればいいのに……。


本年もこれっきりかもしれませんがどうぞよろしくお願いします。

関連リンク

*1:生後三ヶ月になりました。

*2:『週刊少年打ち切りジャンプ』でもおなじみ、田中加奈子先生の怪作。