1800. 週刊少年ジャンプ16号

ジャンプ感想の合間にシムシティで遊んでます。ほらシムシティって焦らず急がず放置プレイで予算を潤し、ジワジワと街を広げてくじゃないですか。だもんで感想書きながら街を放置すればこれ最強じゃね? と考え実践してみたらなんと! シムシティを遊び続けて夜が明けました。(あたりまえ)

インプットとアウトプットの作業って相性最悪だわ。

今週のWJアンケートハガキ

「10ポイント配点投票方式」の結果はこちら。


作品 id:SnowSwallow id:iolite 合算
HUNGRY JOKER 2 2 4
★ 恋するエジソン 2 2 4
ワールドトリガー 1 1 2
  SKET DANCE 1 1 2
  明るい人 1 0 1
  暗殺教室 1 0 1
  斎木楠雄のΨ難 1 0 1
  新米婦警キルコさん 1 0 1
  ハイキュー!! 0 1 1
  銀魂 0 1 1
  トリコ 0 1 1
  クロスマネジ 0 1 1

HUNGRY JOKER』と『ワールドトリガー』って、現代SFバトルモノで同じジャンルなのに正反対の作風じゃないですか。その二作が同時に選ばれたのは、因果なものを感じます。くわしくは個々の感想にて。

今週のWJは序盤から活きがよく、ワンピ・ナルトの二枚看板不在を忘れさせる勢いがありました。掲載順も面白くって、暗殺&斎木のコラボタッグが連続、読み切り二作が連続、黒子&ハイキューのスポーツも連続! 『銀魂』『HUNGRY JOKER』のTS被り。キルコさん浮上で展開の読めない打ち切りレース。あちこちで連係プレイが光ってます。WJ本誌にもストーリー性があって、読み進める楽しさがありました。

以下、本号でアンケート票を投じた作品を感想します。

*ワールドトリガー葦原大介) - 第6話「嵐山隊」

壮大な世界観と大風呂敷な設定・伏線を演出しながら、その割に巻き起こる事件は意外と小規模な印象です。そしてまた、主要人物の心理や相互理解を深掘りするために、時間がゆっくり流れてるんですよね。このあたり、「事象」「思考」を最小の手数で理詰めしてスピード感を重視している『めだかボックス』『HUNGRY JOKER』とは対極の作風だなって感じてます。

WJのアンケ主義って「即物的な面白さに票が集まるシステム」ですから、スピード感の軽視は不利に働きます。こうしたWJならではの「逆境」を、この作風で押す「誇り」を賭して、どんな「策略」で克服されるのか? もはや作中とは無関係に、葦原先生の今後を応援したくなります。

嵐山隊長(19)が若いと感じるか否かは、WJが本来想定する読者層の目安になりそう。自衛隊の小隊長さんの平均年齢と比べたらぜったい若いけど、小学生には大人に映るライン。まあ「ボーダーの顔」てことで、若さを売りに客寄せパンダを担ってるのかもです。ところで嵐山一家、子供の名前が「准」「副」「佐補」って、御両親どんだけサポート大好き!?

隊服のデザインが細かくて、これ絶対グッズ化狙ってますよね。女性隊士の衣装も道徳的でよろしいのですが、バトルできる女子=見えそうで見えないパンツという先入観を植え付けられて育った我々世代のWJ読みには、少々物足りなさも……。これ露出度次第では「藍たん」とか呼ばれて女性隊士も人気を集めてた気がするんですよ。

そんな「藍さん」ですが、初登場時に嫌味を言うエリートはだいたい一番の理解者になるフラグが凄まじいです。分かりやすい配役だけに、次回はできるだけ勝ち気に生意気に尖ってイキって修を振り回してもらいたいです。一方の修も「なにかと空気を読み過ぎるメガネくん」要素を生かして、押されたら拒めないM性を発揮してもらいたいものです。

とすると『藍さんが鮮やかな手さばきで修くんのヤオイ子宮(前立腺)にボーダーをぶち込みいじめ抜く<自己規制>』『感じてないと言い張る修に遊真「おまえ…… つまんないウソつくね」とドSの視線を突き立て<自己規制>』『最後はいつも生意気な藍さんのなかにぼくのトリオン体を解き放って<自己規制>』的なシチュが続々思い浮かぶので、この夏は薄い本が厚くなりますな。

理解者ポジに収まる法則発動は秋まで待ってください!

* 恋するエジソン(渡邉築) - 第12話「発明バトル」 / 第13話「挟まったとして」

連載第一回の感想でお掃除ロボに「しれっと再登場を期待!」とリクエストしてたらいい感じに再起用され、これが一話完結じゃない一話完結ですよ!(急にチープに聞こえる!)

暗殺教室に倣って渡邉先生も『NHKスペシャル・ロボット革命』の放映に今話をぶつけてきたんでしょうか。さすが情報化社会、新世代のWJ作家は週明けのトレンドをも先読みしてアンケ票を取り込むのでしょう。(信者目線)

本編の季節感が把握できませんが、秤とスピカが妙に薄着なのは寮長を誘ってるからという説明の一切を省き、読者に「たぶんそういうこと」と解釈を委ねた感もあります。もはや『松井優征の読切学』を超越した、驚異のページ省略テクニックです。(信者目線)

お掃除ロボという同じお題でも、スピカとは別の方向に狂ってるバーサクロボが登場して安心しました。「発明バトル」の真意は、お題をしてどちらの発想がより狂えるかの競争に相違ありません。今後もスピカや秤ならではの個性や手癖が込められた、そんな発明品を描き分けていただけると、納得感を伴った笑い(万人受けする笑い)が狙えそうです。

二話目は渡邉先生の得意分野で小慣れてますね。自販機に挟まる不条理、校舎通路が愛の巣に変身する不条理、新婚生活を送れてる不条理、それら不条理シチュを無理繰りミックスさせる芸風でたぁーっ!(信者目線) 無駄が削がれて身が締まって、面白さが濃縮されてます。たった5ページだから簡単に読み返せちゃうし、これも立派な強みだなー。

タフマンのロゴネタは、ムーさんの結婚式オフ(おふ?)で「伊東四朗さんって大御所なのにあんな金の陰嚢帽子までかぶってまじタフマンだよね(高解像度のタフマンはこちら!)」と弄ったことがあり、あの時は女子に「これはボクシンググローブがペアになってるマークだよ」と諭されて、それで納得してたんですよ。うん、やっぱその設定は建前だよね。

* HUNGRY JOKER田畠裕基) - case.17「戦士の聖母」

またクールなキャラが登場!(何人目だ!)

銀魂は事件に巻き込まれたセーフな性転換だと思うんです。でもリズは意図して男性患者を挑発し、自発的に女性用下着を着用し、クールな表情で脱衣を見せつけるド変態。アウト! このTSはアウトのやつだ!

それでいて乳首トーンがないのは納得いきません。作家サイドも途中まで女性として描いてた手前、乳首トーンは躊躇したのかもですね。しかしここは男子の乳首トーンが許されたWJの土俵です。男が上半身を晒したら、断固乳首トーンでしょ! 今後は納得感を伴った乳首トーン(万人受けする乳首トーン)を狙っていただきたいものですね。

ハイジの血と絡めて、次のテーマは血液型を発見したラントシュタイナーさん(名前勝ち)。新章突入の流れが自然で、それでいて作品独自のスピード感も崩さず好印象です。未知の病気さえ即座に完治させる医者が同行するので、次の戦いはムチャできそうですね。腕の一本や二本をトばしてもへっちゃらですよ。リズさえいれば今章は「健康」「安定」「高収入」だ。(ぜんぜんワクワクしないけど老後は安心!)

先述したとおり作品が「展開重視」なのと、主人公のハイジがクールなのとがマイナスに掛け合わって、マンガ全体が淡泊に映るのが本作の弱点です。長らく不在だったムードメーカー係にヴィヴィアンが収まるも、ネガティブなニルスと相殺されて結果的に淡泊だなと感じています。そこで新登場のリズですが、ハイジに劣らずクールで淡泊さに磨きが掛かったぁ!

これ田畠先生は狙ってやってるんでしょうか。確かに情緒微弱キャラで固めれば、事象ごとの感情表現を省略できて、物語展開に専念できるとは思うんです。けど読者的には、出来事の一辺倒じゃ「物足りなさ」が積み重なりますし、作者のスタンスに合わせて割り切って読めないと、根っこからノれないタイプの作品だよなぁと常々感じています。

* 明るい人(観寺風貴)

アンケ以外からのプラスワン感想。

予告されていた読み切り『縁結びの神!?マッケイ』よりも、こっちの方が完成度高けーなオイ! ワンピの代原ともなるとひと味違うのか。ジャンプ編集部はワンピ休載の窮地にすっげー隠し球を投じてきたなぁと、読んでいてテンション上がっちゃいました。

まず感じたのが、二号前の読み切り『見渡すかぎりの未成年』とは正反対だってこと。『未成年』はキャラネタが外れて、一発ネタが当たってたんです。一方の『明るい人』は内容が一人のキャラで一貫していて、それでいてクリーンヒット連発なんですよ。ギャグマンガの連載化に重要なことはネタの練度よりキャラの練度ですから、『明るい人』のがよっぽど連載に近い作品だと感じさせます。

じゃあ観寺先生は何が巧かったの? 考えてみたんですけど、第一にキャラの特性を掴めてたんですよね。常時発光してたら日常生活でどんなトラブルが生じるか。周囲にどんな印象を持たれて、その思いに自身はどう対応してやってくのか。彼女の一身上をきちんと整理してから、笑える日常を切り取れています。

”だからこそ”なんですけど、第二に読者の思考に先回りして『サプライズ』を仕掛けるのがお上手でした。読者が明の設定に慣れてきたタイミングを見計らって「実は女子」「実は消灯できる」「実は全裸」「実は可愛い」という切り札を、絶妙なタイミングで開示してきます。その設定を適度に弄りつつ2・3ネタ展開できる安定感も強みですね。これがデビュー作なら末恐ろしいですよ。

一点惜しいと思ったのは、全裸の理由を用意してほしかったな。「その方が面白いから」で済ませられるのもギャグマンガなんだけど、それじゃ一発ネタだもん。観寺先生の魅力は、設定を発展させて笑いに転化したり次の設定に繋げる器用さですから、全裸にも納得感はほしかったです。だってさ、読後感は爽やかなのに、よく考えたら痴女じゃない明さん。


週の真ん中に祝日があったことを昨日知りました。思いもよらず休めるって通常よりもお得感がありますね。もうカレンダーぜんぶ黒字とかでいいかも!(たぶんストレスで死んじゃう)